海外進出成功事例として、大阪府堺市にある薄鋼板の剪断加工・販売メーカーの「大裕鋼業株式会社」をご紹介します。

 

大裕鋼業は昭和33年創業、大阪府の南部堺市で創業された従業員80名、売上高87億に及ぶ薄鋼板の剪断加工・販売メーカーさんです。

半世紀もの歴史を持ち国内でもその品質には定評高い薄鋼板の剪断加工・販売メーカーさんではありますが、国内市場の縮小に対して危機感を感じ海外進出によってこの状況を打破できると考えた代表取締役社長 井上 浩行氏は海外進出を決断しました。

 

大裕鋼業は、顧客のニーズに従って原板を所定の長さ・幅に切断するシャーリング加工から、レベラー加工、スリッター加工へと加工能力を拡げるとともに、取り扱う鋼板の品種も、冷延鋼板、酸洗鋼板からカラー鋼板、電磁鋼板などの各種表面処理鋼板まで拡大してきました。シャーリングマシン1台だった頃とは比べようもない生産規模となった現在でも同社はお客様の多様なニーズに柔軟に対応するコイルセンターとして機能し、顧客の生産計画に合わせ、必要な鋼板を必要なサイズで必要な時にお届けしています。しかし、そのように顧客のニーズを大切にしてきた大裕鋼業が海外進出を決めたのが、今から遡ること5年前、平成25年になります。

 

大裕鋼業が海外進出を決めた大きな要因は、縮小の一途をたどる国内市場で経営を行うことに対して不安を感じていた中で海外市場に活路を見出そうとした点にあります。平成25年6月、中小機構の「F/S支援事業」に採択し、同機構のアドバイザーの助言を受けながらベトナムの鋼板企業やエンドユーザーに関する調査を実施し以降の海外進出の足がかりを築きます。そしてその結果、一定の需要が見込めることを確認して本格的な海外進出を決意することとなったのです。翌月の7月には、ホーチミン市内に事務所を設立し、どんどん海外進出を加速させていきます。平成26年5月には、商工中金の「グローバルニッチトップ支援貸付制度」を活用し、ピンズオン省で現地企業から工場を買収。 ホーチミン事務所を現地法人化し、「Daiyu Steel Vietnam」を設立することでいよいよ現地での本格稼働を開始しました。平成28年5月現在で同社は日系企業12社を含む39社の販売先と取引をしているそうです。大裕鋼業のこうした取り組みによって、商品が持つ歴史と品質を評価するアジア圏等などの海外展開が可能になり、わずか80人の従業員数でありながら、大裕鋼業は徐々に知名度と販売数を伸ばしていきます。

 

大裕鋼業によるこれらの取り組みを可能にさせたのが、中小機構による「海外ビジネス戦略推進支援事業」や「AB’sカフェ」と商工中金による「グローバルニッチトップ支援貸付事業」に加えてJETROの現地窓口での相談といった他のコミュニティとの積極的な交流にあります。まさしく「ゼロからの挑戦」だったため、公的支援制度の活用が、ベトナムに進出している世界各国の自動車メーカーまでをターゲットに販売の拡大を可能にさせたのだと言えるでしょう。

 

同社は今後、これまでに引き続いて、常に海外進出先の現地のトレンドとニーズ把握し、顧客のニーズに合った製品作りと、知名度や取引先の拡大に向けて動いていくそうです。

 

(参考/引用元)

・大裕鋼業HP: http://www.daiyu-steel.co.jp/company/history/

・中小企業庁:

https://www.mirasapo.jp/features/policy/vol39/file/kaigaitenkai_42.pdf