海外進出成功事例として、富山県高岡市にある鋳物品の製造メーカー
「株式会社 能作」を紹介します。
日本の銅器生産量の95%を占める富山県高岡市は400年にわたる鋳物産業の歴史があり、
多種多様な造形や鋳物用具を数多く生み出してきました。
大正5年に創業した能作はその伝統ある高岡銅器の
鋳造技術を用いて主に仏具の製造を手がけてきました。
2003年にそれまでの仏具や茶道具に加え、錫100%で鋳造するテーブルウェアの製造を開始しました。
陶器やガラスと違って錫は柔らかく曲がりやすく、食器には向かない素材でしたが、
能作はその特性を活かし、常識を覆す「曲がる食器」を開発しました。
また、インテリアや雑貨の販売やコーディネートを手がけるバルス社からの依頼で開発した
真鍮のデザイン風鈴は、能作の芸術性と独自性を世に知らしめるヒット商品となり、
2004年の日本デザインコミッティーのコレクションに選定されました。
そして、このデザイン風鈴の開発の元となった同社の呼び鈴は2008年に
ニューヨーク近代美術館(MOMA)の販売品にも認定されました。
その頃から、能作は海外展開を視野に入れ、海外での販路を作るために
世界中の著名な展覧会に自社の製品を出品することにしました。
2010年にフランス・パリの見本市メゾン・エ・オブジェ、
中国・上海のインテリアホームデコ&デザイン展、
2012年にドイツ・フランクフルトの展示会アンビエンテ、
2013年のフランス・リヨンのシラ国際外食産業見本市、
能作はこれらの大規模な国際展示会に出品し続ける事によって
海外展開を意識したマーケティングを行い、人脈やノウハウを築くことに成功し
海外事業に至る全ての業務の内製化を可能にしました。
しかし、世界で通用する製品にするためには、
もっと、各国の文化や生活スタイルに合った製品作りをしないといけないと能作は言います。
2017年2月にはアメリカ・ニューヨークSOHOにアンテナショップを
日本企業6社と共同出展し、バンコクの伊勢丹には直営店をオープン、
フランスのデザイナー、シルビー・アマールと提携し、
「シルビーライン」シリーズとして販売するなど、能作の海外展開は止まりません。
同社は現在4%程度の海外売上高を15%まで伸ばしたいと計画しています。
かつては、斜陽産業といわれた鋳物製造業界に、芸術性と独自性を活かして開発した
オリジナルの製品で活路を見出した能作は、400年続いた日本の伝統を守りつつ
産業の新しい可能性を見出しました。
(参考/引用元)
株式会社 能作 公式ホームページ
経済産業省 政策一覧、ものづくり/情報/流通・サービス
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyodensan/nousaku/nousaku.html