アメリカのあるPR会社で働いていた時の経験です。学生の頃からアメリカでグラフィックデザインを勉強していて、せっかく海外進出したのだからアメリカで働いてみたいと思って何社か応募したところ、ある小さなPR会社の社長と馬が合い、入社することになりました。 アメリカ人の性格からなのか、お互いノリがあったのと、日本人が珍しいからという理由だけで採用された気もします。その頃の英語力は決して自慢できるほどのレベルではありませんでしたが、グラフィックデザインの腕を買われたこともあり、入社早々社内のプロジェクトチームに入れていただきました。

この会社の業務内容は、クライアント企業のPRキャンペーンや、新たなコミュニケーションキャンペーンを企画・提案することで、クリエイティブな人達がぞろぞろいました。しかし、まだまだベンチャー企業ということもあって得意先の企業がなく、仕事はすべて新規開拓の営業から始まりました。また、取引先が見つかったからといってすぐに契約が結ばれるわけではなく、先にコンペを行い、選考に通った後でようやく契約に移るという世界でした。

仕事を初めて間もない頃はあまり意識していませんでしたが、かなり熾烈な業界です。あるクライアント企業の課題解決のために3社でコンペを行うことがあったのですが、ヒアリングから次回の提案(プレゼン)まで一週間しかないこともありました。ヒアリングが終わった直後から、勝負が始まります。社内に帰ってから課題の洗い出しと解決策のブレインストームを行うのですが、会議室では次から次へとどんどん意見が出てきます。お互いの顔色を窺う傾向にある日本人とは違い、上司部下関係なくズバズバいう姿勢はすごく好きで、私も意見を言いやすかったです。

ここでいいアイデアがパッと出るとすごく楽なのですが、コンペを勝ち取れる程のアイデアがそう簡単に出るはずもなく、一晩中話し合うこともありました。解決策の方向性が一通り定まった後は、提案資料の作成に移ります。ここが一番時間のかかるところで、クライアントが提案をすぐに使えるように、実際のポスターを作ったり、ウェブページを作成したりします。そしてプレゼン当日ギリギリまですり合わせや微調整、プレゼンの練習などを行い、本番を迎えます。何度か発表したことがありますが、自分の発表もチーム全体の結果に響くので、かなり緊張しました。しかし、さすがアメリカ人と言えるのか、例え準備が間に合わなかったとしても全てを知っているかのように自信満々で発表します。この点は、全日本人が見習うべきところだと思います。

プレゼン後、早いところではその日のうちに結果が出ます。決まるときもあれば、決まらい時もあります。決まった時は、それこそ涙が出るほど嬉しいのですが、決まらなかった場合、それまでの作業内容は全くお金にならず、水の泡になります。私の会社もコンペで勝ち続けて生き残っていましたが、中には負けが続いて経営を続けられなくなってしまう会社もあるようです。完全実力主義の熾烈な業界ですが、それでも同僚のアメリカ人たちは毎日明るく振る舞っていて、私も見習わなければと思っていました。

最後に、このような厳しい世界で一緒に働いているが故にチームワークはすごく良いですが、定時になった瞬間に速攻帰宅する人がいたりと、アメリカ人のオン・オフの切り替えはかなりハッキリしていました。急に冷たくあしらわれたなどと傷ついてしまう日本人もいるかもしれませんので、 海外進出を考えている方は、この点は予め知っておいて損はないと思います。

 

 

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